「いつになれば」by Shelly


2021年4月5日、この日から私の住むフロリダ州で一般人へのワクチン接種が可能になった。
有難いことに自由は増えた。友人にも会えるし、買い物にも行ける。

さて、この日から感染者数は減ったと思いますか?
残念ながら、答えはノー。むしろめちゃめちゃ増えている。


感染者数を1日ごとに更新しているサイト、USAfactsのデータによると、フロリダ州2021年8月31日現在時点での1日における平均新規感染者数は19,872人、平均死亡者数は325人。それに比べ、ワクチン接種が可能になった2021年4月5日の平均新規感染者数は1,072人、平均死亡者数は20人。(7日間の平均人数で計算)
つまりワクチン接種が可能になったにも関わらず、約18倍も感染者数が、約16倍も死亡者数が増えていることが分かる。


フロリダ州の人口は約2.1千万人。その内の約1.1千万人が2回のワクチンを接種済みとの報告だ。(Overall, 53.76% of Florida's population have been “fully” vaccinated.)
アメリカ国内の2回ワクチン接種率は53.8%。フロリダ州人口のものとほぼ同じ数字を示している。

ちなみに日本経済新聞の調べによると、日本国内の2回ワクチン接種率は49.0%。65歳以上となると87.5%もの人たちが既に接種済みとされている。

ワクチン接種はあくまで個人の自由とされており、日米問わずワクチンへ疑問を持つ人も多いのが現状。半数以上の人たちが打ってはいるものの、今後の見通しはなんとも言えない状況だ。


さて、ここフロリダの現在の生活環境はというと、スーパーやショッピングモール等、外出時のマスク着用率は格段に減っているのが現状だ。ワクチン接種済みであれば問題ないシチュエーションもあるのだけれど… who knows?(誰がそんなの分かるの?)って思いません?

人数制限のため事前予約制だったテーマパークはいつでも誰でも行けるようになったし、朝方までオープンしているバーやクラブなんて数えきれないほどある。
出会いを求める人たちが集う夜の場所、そんなところでマスクを着用する人たちも体温チェックをする店の人たちも、残念ながらほぼゼロなのも現実だ。


このように派手な生活環境に身をおく者もいる一方、日々感染を気にしながら慎ましやかに過ごす人たちがいることも忘れないで欲しい。また、母国に帰りたいと切に願う人々も数えきれない程存在する。ただ、簡単では無いということも悲しいかな事実である。

日本にお住まいの方もご存知の通り、海外からの感染拡大を厳重に抑える日本の対策は本当に素晴らしい。その反面、厳しすぎるという声も多くある。例えば、フロリダ州に滞在している日本人が帰国する場合、2週間自主隔離の前に3日間の強制隔離という壁が待ち構えている。文字通り、空港到着後は政府の準備するホテルから3日間一歩も出れないということ。数名の知人が帰国できた例が身近にあるのだが、皆口を揃えていうのが「しんどい」だ。


日本国内に住む友人や家族には勿論会えないし、好きなものを食べられるわけでも無い。食事に関していうと、毎日決まった時間にお弁当と水を届けてもらえるらしいのだが、、、あったかい白ごはんなんて夢のまた夢。家族と一緒に帰国していればまだ良いが、単身帰国の場合は冷たいお弁当を一人で食べることになる。

朝昼晩、3日間。私ならテレビに向かって話出しそう。予約制で洗濯物を洗いにいく場合のみホテル内にあるランドリーエリアへの外出が許されるらしいのだが、外の空気を求める人たちが多く、倍率は相当高いらしい。そこから2週間の自主隔離、しかも毎日ライン等を通じ監視される日々がスタートする。対策を否定する訳ではないが、「まるで囚人になった気分」なんて思うのは仕方がなくない?


そんな背景の中、今年7月から日本でもワクチンパスポートの取得が可能になった。他国ではこのパスポートが既に活用されており、隔離対策の緩和が進んでいる。また、米国のCDCは中・重度の免疫不全の人に対し3回目のコロナワクチン接種を進める声明を出したことも記憶に新しい。皆が正しい自由のありかたを考える良い機会ではないだろうか。

約2年前の2019年、あの頃は会いたい人に自由に会えていた。「職場の飲み会が減ってラッキー」なんて声もちらほらあるが、強がりな様な、寂しい余韻が感じられるフレーズに思う。


「家族に会いたい」
「友達に会いたい」
「あの人に会いたい」
「あの場所にいきたい」


罪のない、ただ会いたいという気持ちに蓋をしなければならない現在。よく考えたら可笑しな話だ。会いたいだけなのに、それが罪にもなり得る時代。
その感情に蓋をしなければいけないという恐怖、不安。いつになったら落ち着くのだろう。

ワクチン接種が可能になったにも関わらず、様々な問題が次から次へと出てくる日常は各国で続いている。しかもインフルエンザを始め、風邪をひきやすくなる冬が待ち構える現在。この先の未来、あなたはどう予想しますか?

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