「継母」と「ステップママ」同じ意味の言葉だが、何となく英語の方がハッピーな響きに聞こえる気がするのは私だけ?
さてさて、自粛生活がスタートしてから1年目に差し掛かろうとしている今日だが、「あぁ、カラダがバキバキだわ…」ってな声があちこちから聞こえてくる。
画面に向かって勉強する学生、ミーティング続きの会社員。パソコンと格闘する生活が続けば、首は凝るし腰は痛む。その内の一人である私の楽しみは、数ヶ月に一度のマッサージである。
そんな私をメロメロにさせるセラピストの彼女は、なんと70代のアメリカ人女性!
マッサージ師と看護師の資格を併せ持つキャサリンは40年以上一人でサロンを経営している。
力強い施術も最高だが、なんといっても彼女のトークは魅力的。
心も体もほっこりする時間がたまらないのだ。
ある日、彼女は家族の話をしてくれた。
「私は今までに2度結婚をしているのよ。」
あたたかい手で私の背中を指圧しながら、彼女は続けた。
「最初の結婚なんだけどね、7歳の息子を育てる人と結婚したの。彼はカッコ良かったわ!」と彼女は笑う。
「でも彼は彼の前妻と仲が悪くて。子育てにお互いが協力をすることができなかったの。彼の息子はいつも不安で、笑顔がなかったわ…」
ふぅ、とため息をつく彼女。
彼女の両手はクリームを広げ、慣れた手つきで私の背中に戻る。
「その時ね、私は彼の息子にこう言ったのよ。
『私は、あなたのパパと結婚をすると同時に、あなたとも結婚をするのよ。あなたの側にずっといるし、困った時は必ず手を貸すわ。ママもパパも大好きでいいのよ。あの人たちも、それぞれの幸せを探すことに必死なだけなの。
辛い時も一緒に生きていきましょう。あなたの幸せを誰よりも願っているわ。』って。」彼女はくぐもった声でそう言った。
施術が終わり、センキューと言ってバーチャルハグをした。
彼女との時間が名残惜しいが、仕方ない。軽くなった体で、のそのそと車に乗り込んだ。帰宅する車内、彼女の言葉が離れなかった。
「あなたとも結婚するのよ」
なんて素敵な一言だろう。
そんなことを考えながら、車の窓を少し開けると、ツンと鼻を刺す冷たい冬の匂いがした。
Shelly
米国フロリダ州に住むアラサー女子。アメリカで暮らす“誰か”にフォーカスをあて、人物インタビューや日米の違いに関するルポを発信中。
- Columnist
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