#3 フェミニストという言葉に抱く違和感 - Feeling uncomfortable in the world of feminism


フェミニズムという言葉が定着してきて久しい。


皆さんも「フェミニスト」とか「フェミ的思考」とか、そういうような言葉を耳にしたりネットの中で見たことがあると思う。

アメリカでは人権に関わる記念日などになると、多くの人がSNSなどでそれについて言及する。
(例:Juneteenth は黒人奴隷解放記念日だが、6/19にまだ根強く残る黒人差別について言及したり、など)


それ自体は、若い人が改めて社会問題について考えるきっかけにもなり、いい運動だと個人的には思う。

なので、わたし自身もアメリカに住む日本人として、できるだけ日本にいる友人に考えるきっかけを与えられるようにと願い、発信したりしている。


ちょうど2年前の国際女性デーに下記のような投稿をした。


https://www.instagram.com/p/B9f2h60hKOG/


その時に「あなたはフェミニスト、尊敬します」みたいなコメントをいただいた。それについてはすごくうれしかったのだが “あなたはフェミニスト” と言われたことがすごく引っ掛かった。

当たり前のことを言っているのに、なぜラベリングされなきゃいけないの?


また、今年の国際女性デーにはインスタグラムのストーリーに、

「時代や男性のせいにするのではなく、女性自身が意志を持って生きることが大切」

と投稿したところ、何かしらのアクションをとってくれたのは男性だけだった。


ただの一般人のわたしのSNSから得られたデータだけじゃ、物事を包括する要因にはならない。しかし、この結果の裏側にはきっと、男性側にもモヤモヤする事案があり、男性が強いられてきた不当な扱いについても考える必要があるのではないかと考えさせられた。男性だって好きで女性に意地悪しているわけではないのだから。


一方で、実際に女性が社会の中で男性よりも不利に扱われていることは多くある。それは否定できない事実だ。そして、大抵のことは女性自身が差別だとすら気づいていない

“意識していない”ことが、わたしの発信に女性からのアクションが少なかった要因でもあると思う。どうせ戦っても無駄だからと諦めていることが、意識させてくれないのかもしれない。(それが一部のいわゆる“フェミニスト”と呼ばれる人たちが反感を買う理由のひとつになっている気もする)


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先日、『82年生まれ、キム・ジヨン』という作品を読んだ。韓国の作家チョ・ナムジュの小説で、韓国で130万部以上の販売部数を記録するベストセラーとなり、日本・イギリス・フランス・スペイン・イタリアを含む16か国で翻訳されている。

そこには日本と同じく男尊女卑の歴史が根強く残る韓国の事案について書かれていた。


日本にも通じる例が数多くあったのだが、わたし自身がおかしいとすら気づいていなかった女性差別がありすぎて、度肝を抜かされた。改めて、女性自身、そして自分自身が気づいてすらいない女性差別について考えさせられた。そんな事実に当事者でない男性が気づくはずはない。

どうやら韓国の女性は日本の女性よりも、権利を主張しているようだ。そしてやはり、男性側の心情として、わたしが上記に述べたような心情が見受けられる。


日米を往復する生活をしていて、日本の人たちに対して感じるのは、世界で起こっている出来事に対してあまりにも無関心だということだ。メディアで見るのは「別の国のこと」という認識が強い。そして、そのことに対して発言している人を白い目でみている人も多い。

他人の痛みを自分ごと化するのは難しい。しかし、回りに回ってそれは自分の痛みとなる。未来の自分、未来の子供たちへの痛みと。


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無関心は最大の悪。

女性がとか男性がとかではなく、おかしいことにおかしいと気づき、発言していくことの積み重ねが、未来をよくしてくれるのではないかと思う。

いつか、フェミニズムなんて言葉のない世の中になることを願う。

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