AI・人工知能は音楽家を駆逐するのか?


壮大な見出しにしてしまった事を冒頭から後悔しつつ、AIは音楽家を駆逐するのか?といった問いに対して私なりに仮説を立ててみました。


答えのないテーマですが、該当される方はぜひご自身でも一度考えてみることをオススメします。

結論から言ってしまうと一部の人たちは駆逐され、ある人たちは別のベクトルで永遠と音楽を作り続けるのだと私は考えています。

駆逐される人達はどういった人たちなのか?別のベクトルとは?


その前に、少し音楽の劇的な変化について振り返りたいと思います。

音楽業界、主にDJシーンやトラックメイクシーンに関わらせてもらって20年以上が経ちました。

イベント制作や楽曲制作機材・DJ機材の販売などに携わり、それなりに必死になって音楽の世界で生きてきました。

ですので、音楽について少しだけ語ることをお許しください。


この数十年で、音楽を聴くための媒体や音楽の制作ツールが凄まじい勢いで変化を繰り返し、今なお新たなフェーズに入っています。

その変化を最もリアルに体感してきたのが私の世代、30代半ばから40代前半ではないでしょうか。

小学生時代にCD全盛期を迎え、その後MDプレイヤーで曲を聴き、16歳でDJを始めアナログレコード・MIXテープにどっぷり浸かりました。


日本でHipHopが盛り上がった影響もあってか、嘘みたいにターンテーブルが売れた時代がありました。

大学生になり、iPodが登場。その後デジタル音源の隆盛から、iPhoneの発売を皮切りにスマホが普及していきます。

そして、現在の「サブスクリプション」といった音楽の楽しみ方が主流となりました。

音楽メディアの変化と共に、音楽制作環境も大きく変化しました。逆に音楽制作環境の進化が音楽メディアの変容に貢献したとも言えます。こちらも幕末から明治になったぐらい世界が大きく変わったのですね。


音楽制作における1番のパラダイムシフトは、やはりパソコン・Macの登場・スペックの進化だろうと思います。

所謂DTM(デスクトップミュージック)といった制作スタイルの確立です。

楽器ができなくても、大金を掛けなくても誰でも気軽に曲を作れるようになりました。

また、DAW(楽曲の録音・構築・編集などができるソフトウェア)の進化やソフトシンセの登場ももちろん重要です。


そして、今起こっている次のパラダイムシフトがAI・人工知能です。

私の肌感ではありますが、AI技術によって既に一部の音楽関連の仕事が減少してきているように感じます。


AI・人工知能について私は門外漢ですが、普段無意識に触れている情報からでも想像は容易です。

著作権もクリアーしている作曲サービス「SOUNDRAW」やイーロン・マスクが設立に関わったことで話題になった「Jukebox」など、楽曲のクオリティはさておき既に実用ベースで人工知能によって楽曲制作ができるサービスが勃興してきています。

音楽ではありませんが、アメリカコロラド州で行われたアートコンテストで、AIアートが優勝するといったニュースも記憶に新しいところです。


残酷かもしれませんが、WEB広告素材としての楽曲や作業用BGM的な楽曲制作であれば、正直AIが作った作品でも良くないか?というのが今の私見です。

だとすると、楽曲を作り続ける意味って今後ますます無くなっていくのでは?となりますが、意外とそうでもないと考えています。


そもそもの話ですが、音楽に限らず、何かを創作している皆さんは今何を目的として創作されていますか?

仕事にすること、お金を稼ぐことが目的だという方もいると思います。

それも大切な目的の一つです。全く否定する気はありません。


しかし、テクノロジーの進化でそれが難しくなってしまった場合、辞めてしまうのでしょうか?

ここで辞める人が一部のAI・人工知能に駆逐される方々です。

「それでも私は続ける」という人は、音楽を作っている瞬間が最高に楽しくただただその状態を続けたいのではないでしょうか。


では、音楽制作が楽しいとは具体的にどんな瞬間ですか?

「何かすごいものができたかもしれない・・・」とゾクゾクして小躍りするあの瞬間ではないですか?

あの瞬間がたまにあるから辞められない・・・。まぁ私の勝手な想像ですが、少なからず共有できる方もいらっしゃると信じて。


自分がゾクゾクするような音楽を好きなように作る。そして好きなようにシェアする。

そんなマインドを持った人達が別のベクトルで永遠と音楽を作り続け、音楽史上に残るような画期的な発明を生み出すのだと私は信じています。


タラタラと書いてきましたが、ここらでまとめます。

私の恩師の言葉ですが


「お前の曲を世界中で一人でも好きだと言ってくれれば、それは間違いなく良い曲なんだよ。」


当時はなんかキザな事言ってんな〜ぐらいにしか思っていませんでしたが、今となっては創作活動なんてそれぐらいエゴイスティックでいいのだろうと考えるようになりました。

音楽家に限らず、今後AI・人工知能があらゆる仕事を代替していく事は言うまでもありません。

それを悲観的に捉えることは容易ですが、ライフワーク(生涯かけて続けていく活動)を見定める最高な時代の到来と捉えることもできます。

あなたにとってのライフワークは何か?

それさえ見つけてしまえば占めたものです。



「仕事になるならない」「お金になるならない」などは、続ける or 辞める理由にはならないと言う事です。

ぜひゾクゾクする瞬間を大切にしてください。

私にとっての音楽は、仕事である前にライフワークです。

生きている限り関わり続けていくでしょう。

その道すがらどこかでお会いできたら嬉しいですね。

結局のところ音楽は人と人とを繋ぐツールですから。


最後に少しだけ告知させてください。

日本最大級のトラックメイク、ビートメイクの大会「ビートグランプリ」の副代表をしています。

音楽史上に残るような画期的な発明を生み出すクリエイターを発掘すべく、2015年から毎年続けてきました。

今年は昨年同様オンラインでの開催、映像付きの音楽作品を応募する形となっています。

現在エントリー受付中です。音楽・映像を制作されているかはぜひ一度覗いてみてください。


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