現代アートチーム目 [mé]によるプロジェクト《まさゆめ》


東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京がTokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13のひとつとして主催し、現代アートチーム 目[mé]が企画する《まさゆめ》。東京の空に巨大な「誰かの顔」が浮かびました。

《まさゆめ》目 [mé], 2019-21, Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル 13 (撮影:金田幸三)
《まさゆめ》目 [mé], 2019-21, Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル 13 (撮影:金田幸三)

《まさゆめ》は、年齢や性別、国籍を問わず世界中からひろく顔を募集し、選ばれた「実在する一人の顔」を東京の空に浮かべるプロジェクトです。各地の国際芸術祭や展覧会で独創性と創造性に満ちた作品を発表し、話題をさらってきた現代アートチーム目[mé]のアーティストである荒神明香が中学生のときに見た夢に着想を得ており、見なれた空に巨大な顔が浮かぶという、圧倒的な風景が本日、東京に出現しました。

《まさゆめ》目 [mé], 2019-21, Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル 13(撮影:金田幸三)
《まさゆめ》目 [mé], 2019-21, Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル 13(撮影:金田幸三)

当プロジェクトは、「出会った方それぞれの主体的な体験として作品を届けたい」というアーティストが本作品に込めたコンセプトを実現するべく、浮上日時や場所を事前には公表せずに実施しました。偶然作品に出会っていただくことも、作品を成立させる大事な要素のひとつです。《まさゆめ》は同じ場所に集まらなくても、それぞれの場所、時間、環境で体験、共有できる作品として、ライブ配信や SNS、マスメディアなど、様々なチャンネルを通じて多様なかたちで出会っていただきたいと考えています。

浮上した顔の大きさはおおよそビル6〜7階分、顔のモデルや浮上方法は作家の意向により非公開です。顔の向きが変わる可能性はありますが、固定の場所にて本日20:00まで断続的に浮上予定です。


実施日時 2021年7月16日(金)6:00〜20:00
※天候等の影響により浮上を中断、または20時より前に終了する可能性があります。
※メンテナンス等、安全運営上の理由により降下している時間帯があります。
実施場所 東京都心部

主催 東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
企画 目 [mé]
協力 P3 art and environment


アーティスト・ステートメント

私たちが直面している現在の危機。この中では「何かを計画して実行する」という、私たちの行動の根幹を支えてきた構造そのものが崩れている。もう一年余り続いている危機の中、その日々の実感は、地に足をつけ確実に歩んでいるはずの現実であるにも関わらず、まるでずっと先の未来のように、とても不確かで実態をはっきりと捉えることができない。日々見聞きすることになった医療や経済という観点は、言うまでもなく欠かすことができないものであるが、しかし、この現実を捉え、それを受け入れるには充分ではなく、別の観点「ものの見方」が必要である。チリのコピアポ鉱山落盤事故(※1)では、69 日間地下深くに閉じ込められた鉱山作業者たちが、困難な生活の中で、ある日から突然、牧師や医師、記者となって、暗く狭い空間の中に「小さな社会」を見出した。「ものの見方」は、時に私たちの生存にも直結する。

人流の災害ともいわれるこの危機は、間違いなく人類によってもたらされたものであるが、いまだに受け入れ難くやり場のない感情さえ抱くことがある。しかし、どんな困難な状況であっても私たちはそれを見ようとし、感性を持ってそれを捉えようとしなければならない。何かを見出すのは後からでもいい。誰に頼まれたわけでもなく既にここに存在する人類は、これまでも広く大きな視野を持って、想像によって「後から」この世界やその存在の意味を見出してきた。この危機の渦中、それはとても難しいことだが、しかしそれでも、私たちはものを見ることを諦めてはいけない。

唐突に巨大な顔が東京の空に浮かぶ。
「当時14 歳のどこにでもいる日本の少女が見た夢」のごとく、 はっきりとした理由が添えられることのないまま、日常を一瞬無化するように、前もって予告することなく、突如として実施する《まさゆめ》。この実在する誰かの顔は、SNSやメディアを通して、様々な場所から多くの視点によって眺められることになるだろう。そして、その顔はこのパンデミックの空から私たちを見返している。まるで、この状況に加担しているのは紛れもない私たち自身であるというように。《まさゆめ》は、この困難と向き合い続ける。何かを見出すその時に向けて、どんな時も想像を続けそれを分かち合いたい。


現代アートチーム 目[mé]

※1 コピアポ鉱山落盤事故:2010年8月にチリの鉱山にて発生した坑道の崩落事故。 33名の作業員が閉じ込められるも、事故から69日後に全員が救出された。


アーティスト・プロフィール

Photo:津島岳央

Photo:津島岳央
目 [mé] アーティスト 荒神明香(こうじん はるか、写真・中)、ディレクター 南川憲二(みなみがわ けんじ、同・左)、インストーラー 増井宏文(ますい ひろふみ、同・右)を中心とする現代アートチーム。 個々の技術や適性を活かすチーム・クリエイションのもと、特定の手法やジャンルにこだわらず展示空間や観客を含めた状況/導線を重視し、果てしなく不確かな現実世界を私たちの実感に引き寄せようとする作品を展開している。代表作に、個展「たよりない現実、この世界の在りか」(資生堂ギャラリー、2014年)、《おじさんの顔が空に浮かぶ日》(宇都宮美術館 館外プロジェクト、2013-14年)、《Elemental Detection》(さいたまトリエンナーレ 2016)、《repetitive objects》(大地の芸術祭 越後妻有アート トリエンナーレ2018)、《景体》(六本木クロッシング2019展:つないでみる、森美術館、2019年)、個展「非常にはっきりとわからない」(千葉市美術館、2019年)、などがある。第28回(2017年度)タカシマヤ文化基金タカシマヤ美術賞、VOCA展2019佳作賞受賞。2021年は個展「ただの世界」(SCAI THE BATHHOUSE、7月6日[火]〜8月7日[土])にて新作を発表。


《まさゆめ》とは

年齢や性別、国籍を問わず世界中からひろく顔を募集し、選ばれた「実在する一人の顔」を東京の空に浮かべるプロジェクトです。2019年3月から6月にかけて、WEBサイトやワークショップを通じて集まった顔は1,000以上。その後、顔を選ぶための参加型公開ミーティング「顔会議」(2019年6月23日実施)などを経て、2020年夏に実施を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け延期していました。これまで、"背景が東京であることの意味"や"作品を観ること"についてなど、多くの方々とプロジェクトの本質を共有しながら進めてきました。


  • 公式WEBサイト
    https://masayume.mouthplustwo.me
    SNSなどに投稿された画像を、リアルタイムで収集し掲載しています。ハッシュタグは「#まさゆめ」「#masayume」です。
  • YouTube公式チャンネル
    https://bit.ly/3qQpl1u
    固定カメラからの映像をライブ配信しています。
    ※ライブ配信のみ。アーカイブは残りませんが、後日公式WEBサイトにて記録映像を公開予定。

  • プロジェクトの様子を、SNSを通じてご紹介しています。
    • Facebook  @masayume.mouthplustwo
    • Instagram  @masayume.me
    • Twitter  @masayume_me

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