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「思想に投資するって、ありかもしれない」——“戦争で上がる株”じゃなく、“支持したい企業”にお金を置いてみる会


2026年2月から発生したアメリカ・イスラエルによる対イラン攻撃、そしてイラン側の報復攻撃。中東情勢の緊迫化は今も続いている。
攻撃情勢を鑑みた「今どこが買い時か」みたいな話をよく見かける。当たり前だが株価の動向と世界情勢は切っても切り離せないし、誰だって損はしたくないのはわかる。


ただ、どうしても「戦争が起きているから、どこそこに投資をしよう」という考え方に引っかかってしまう。「戦争で株価大荒れでもチャンスあり!」なんていうネット記事の見出しを読んで、首をかしげてしまったりもする。


もちろん、資産形成のために投資することは悪くない。
ただ、自分がその考えをもって投資をするということが、しっくりこないのだ。


そんななか、They say編集部でもその話題があがった。
「どうせお金を置くなら、自分が支持できる会社、考え方に共感できる企業に投資するやり方もあるんじゃないか。」そんな話から始まったのが、今回の会だ。


・編集長T:中級者(株式投資歴10年)
・編集部員E:初心者(つい最近編集長Tに勧められて初株を購入)
・編集部員Y:やる気あり(資金は10万円)
・編集部員R:少しやる気あり(今後、やってみたいと思っている。)


「戦争が起きたからこの株を買う」って、ちょっと冷めない?

T:最近Xで「戦争が始まったからこの株が買いどころだ、って話をされると冷める」みたいなポストを何回か見たんだよね。

R:あー! それ私も見ました。

T:俺もイラン侵攻が始まったタイミングで、某不動産会社から「戦争始まったから次はこの株だ!」って話をされて「うわあ・・」って思ったんだよね。戦争を株価でしか考えてないような気がして。


T:自分も資産形成のために投資することはあるんだけど、会社や経営者のステートメントを読んで、「気が合うところ」「なるべく加害に加担しないところ」に投資するよう折り合いをつけているの。

R:だから今日は、「おもしろいステートメントを出してる経営者とか、ちゃんと意気投合できる会社を見つけて、実際に投資までしてみよう」っていう会ですよね。


それぞれ株式投資との距離感が違う4人

T:今日いる4人、けっこう株式投資への距離感が違うんだよね。
俺は10年前から株を始めて、大体400万ぐらい。めちゃくちゃ詳しいわけじゃないけど、そこそこ触ってて。それこそ最近のトピックでいうと、Eも始めたよね。

E:そう、私は編集長に勧められて、最近始めました。

Y、R:おー!


T:そんななか、編集部員のYも株式投資にちょっと興味があるということで。

Y:私は、今回から始めようと思って10万円準備してきました。でも何から見ればいいのか全然わかんない。


E:もともと投資には興味あるの?

Y:子どもの時からお金の使い方として、消費というよりも自分が好きなものに使うんだ!という感覚はあります。だから「投資する」っていう行為には興味ありです。

数年前から積立NISAは月500円とかでやってます。
でも「これがいいらしいよ」というのにそのまま積み立ててるだけで、投資している感覚がなくて面白くはないです。

R:私も全くやったこともないし、わからないです。だからまずは株について教えてください!


T:株ってなんぞやって話をざっくりとすると、会社が事業をやるためにお金が必要で、そのために株を発行して買ってもらう。そのお金で会社が成長していって、株を買った側は、値上がりしたときに売って利益を出したり、配当をもらったりする。そんな感じかな。

R:1株いくらって誰が決めるんですか?

T:上場したら、もう市場全体、つまり世間が決める。
会社の価値や期待値、いろんなもので動きます。

Y、R:なるほど…

……


――株の仕組みについて説明中――

株の仕組みや投資の仕方については、一旦ざっくり理解できた編集部員一同。


Y:株って「推し活」に近いかもしれないですね。
自分が応援したいものにお金を使う仕組みだから。

T:推し活って身を削ってる感じしない?でも株は、応援でもありつつ、自分の資産にもなる可能性がある。それって結構、健康的だなと思う。

Y:たしかに。「自分のためでもある」っていうのがいいですね。

T:では早速みんなで応援したいところを探して、Yの投資先を考えていこう。


じゃあ実際、どんな企業なら「思想投資」したくなるのか ――編集長の投資先――

T:俺が最近すごくいいなと思って投資したのは、サンリオです。
きっかけは朝ドラ『あんぱん』で、妻夫木聡さんが演じてたサンリオの社長の役があったんだけど、どうやらものすごい平和主義の方だったみたいなの。戦争の時代を経て、「世界中が仲良く平和に暮らせるように」っていう思想をずっと発信してる人で、その考えがサンリオの“かわいい文化”のベースになってるみたい。

E:私は編集長からその話を聞いてテンション上がって、その場でサンリオの株を買っちゃった(笑)。

Y:たしかにサンリオいいですね。

T:戦争に便乗する投資が嫌だっていうんだったら、平和を願っている企業に投資するのはありかなと思ってる。それで俺は984.2円の時に買って。これは反戦活動的な投資ですね。

E、Y、R:うんうん。


T:あとは日本製鉄も持ってる。 日本製鉄がUSスチールを買うってなった時に、アメリカ側で強い反発があって。それが正しいか分からないけどちょっと頑張ってほしいなっていう応援の気持ちで買った。

一方で日本製鉄ってもちろん鉄だから、全ての生活にも関わっているだけでなく軍事産業にも使われる。鉄に限らず、通信もそうだし、資材も、結局いろんなものが軍事産業に使われうるから、そこは何とも言えないよね…。

僕たちは資本主義に参加してる以上、超清廉潔白な企業を探すことは無理だと思う。そこから逃れることはできない。

E、Y、R:確かに。

T:そんななかちょっとでもより良い方向にできたらって気持ち。
日本製鉄は脱炭素にも取り組んでいて、エネルギー効率や生産の高度化にも投資している。そういう部分も含めて、前向きに見てる。


T:また、エネルギーに関しては結構前から興味があって、次世代エネルギーの分野にも関わっていく可能性がある領域への投資もしている。

そういう分野に投資したいときは、そのど真ん中じゃなくて、土台を支えてる会社、たとえば機器メーカーを見るっていうやり方もある。

Y:たしかに、直接その会社じゃなくても、その周辺というか、土台を支えてる会社を見るってこともできますね。

T:そうそう。ど真ん中の会社に入れられなくても、その分野に投資したいなら、そういう見方もあるってこと。


実際に投資先を探してみる 

T:実際にYが投資する企業を探していくとして、俺が最近気になってる企業は吉野家。
吉野家の会長さんが映画好きで、その方がラジオ番組でセレクトしている映画がめっちゃいいの。

Y:あー、それ聞きました。あれめっちゃ面白かったですもんね。

T:企業理念だけだと、企業としての体裁を保つために、どんだけでも嘘をつけるから、経営者のキャラクターが見えるみたいなのがいいなと思って。


E:ほかに気になってる企業ないの?

Y:それでいうと、モスバーガーは外国人労働者の働き方について取り組んでましたよね。


[モスフードについてみんなで調べて動画を視聴]


T:へー! 確かにモスいいなってなるね。
ちなみにモスフードの株価はおいくら万円ですか?

E:うわー! 4,430円です。高い。さすがに手が出ない。

R:今回の予算100,000円だと難しいですね。


T:ほかに気になる企業で言うと、サイボウズとかも気になる。
ここの代表の方がずっと夫婦別姓の制度に対してめちゃめちゃ運動してる人で、そこの経営者が署名するやつがあって、俺それ署名してんだけど。
経営者としてこういう意思表明をしたり活動をすることに、俺も賛同してて、すげえいいよね。

R:サイボウズも2,038円とかですね。結構高い。


T:たしかに。ハードオフとかも気になってるけど、全然値下がりしないから買えないもん。
でも、それでいうと古着とかにベットするのいいね。短絡的だけど、環境のためにも絶対いいじゃん。

E、Y、R:たしかに。

Y:まんだらけとかどうなんですかね?

R:330円ですね。そこまで高くない。

T:へー! いいじゃん、俺が買ってみようかな。

[まんだらけの株を買う編集長]

T:なんかノリで買っちゃったよ・・。


「どこを応援したいか」をいったん持ち帰る

R:結局「これを買おう!」ってところまでは決められなかったですけど、思想投資のキックオフ回って感じでいろいろ話聞けて良かったです。

Y:今日いろいろ見て思ったのは、いいなと思った会社ほど、意外と高いんですよね。

T:そうだよね(笑)。
モスもサイボウズも「いいじゃん!」ってなるけど、10万円で始めるとなるとちょっと難しい。結局、資産運用としては「こっちの方が絶対儲かるよね」って会社もある。
それでも“お金を増やす”以外の理由を少しでも持てる投資ってあるんじゃないか、とは思うし、それを伝えられる会にしたいね。


今回の投資先はいったん保留となったが、株式投資をやっているメンバーも、やったことのなかったメンバーも、企業や経営者の姿勢に向き合って、どこを応援したいかを真剣に考える時間となった。

全く株式投資をしたことのない私からしてみれば、投資はただお金を増やすためのものだと思っていたが、投資は単なる資産形成だけではなく、「何を支持するか」を考える行為でもあるのではないだろうか。

戦争に便乗する企業ではなく、少しでも自分が信じたい方向にお金を置く。
そんな投資の仕方があってもいいのかもしれない。

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